本日の日経新聞朝刊1面、「二ッポンの農力 第4部 育てろ経営力」のの記事に、「(農業が)産業として成長するには法人化を選択肢とする必要がある」とありました。
確かに「法人化」というのは、一つの選択肢には成りうるかもしれません。
ただ、それが、「農業の明るい未来」に繋がるかどうかは、大きな疑問符が付くと言わざるを得ません。
僕がちょっとだけ農業をかじった経験から言うと、むしろ、家内工業的な農業の方が未来があるのではないか、と思います。
では、なぜ、こうした「昔ながらの農家」の方がいいのか?
それは…、
例えば、自分たちで農作物を栽培していれば、まず食いっぱぐれることはありません(笑)
物価の変動に左右されず、確実に食べ物を手にすることができます。
そして、仮に兼業農家なら、サラリーマンなどの固定収入がありますし、
農家は「個人事業主」なわけですから、当然、必要経費で赤字が出た場合、給与所得と損益通算ができます。
ファイナンシャル・プランナー的視点から言うと、これが大きい。
要するに、サラリーマンの給与を確保しながら、しっかり節税対策することが可能なわけです。
一方、法人化して大規模営農をした場合には、営農をスタートする際に、莫大な資金が必要になります。
基本的には、施設栽培ともなれば、2000万円近くは必要になるでしょう。
それにも関わらず、農作物は、工場製品と違ってロスが多く、気候などの不確定要素もあることから、売上はなかなか安定しません。
もちろん、大規模化すれば、それ相応の人件費もかかります。
新規就農で法人化→大規模営農の実践というのは、やはり、かなりのリスクが伴うわけです。
いろんな就農ガイドブックを読んだり、実際に新規就農者の見学にも行きましたが、現実的には、大規模営農→莫大な出資と多額のローン→借金を抱えて廃業、というケースも少なくないようです。
それならば、いっそ、自給自足的農家を目指した方がリスクも少なくて、確実に腹を膨らませられる――。
やっぱり「半農」のライフスタイルを構築し、1億総兼業農家になる方が、日本人の豊かな暮らしの実現に繋がると思いますが・・・。
「大卒の無職者が10万人になりそう」という、なんだか世知辛い昨今。
とりあえず「食べるものを確保する」というセーフティーネットも、なかなかいい案かな、と思いますが、さて、皆さんはいかがお考えでしょうか?