
“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事
- 作者: 小暮 真久
- 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセンター
- 発売日: 2009/03/21
- メディア: 単行本
元マッキンゼーの戦略コンサルタントで、現在は社会起業家として活躍されている著者が、その内情をざっくりと書きつづった一冊。
著者の熱い想いを感じ取れるのと同時に、NPO法人を含めた企業の戦略を考える上でも参考になる点の多い良書だと思います。
ただ、ひとつ、なんとなく腑に落ちないのが…、
どうしてこの方は「NPO法人でこの事業を展開してかないといけないのか」という部分です。
こんなに経営センスのある方なら、フツーに事業を行って社会貢献していく方が、もっと幅広い人の未来を明るくするのではないかな〜という気もします。
で、以前読んだ本に、こんな話があったのを思い出しました。
「世界の飢餓を何とかしたい」と考えていたある人が、
アフリカの難民キャンプに援助スタッフとして参加した際、
何気なく見せた東京の映像に、キャンプの人たちが驚きの表情を浮かべたといいます。
難民キャンプの人が指差したのは、路上で寝泊まりするホームレス。
その日本人が、ホームレスのことを説明すると、
「私たちは、日本には飢餓で苦しむ人は一人もいないと思っていた。
自分たちの国の人たちも守れない奴に、援助してもらう必要はない!」
と、難民キャンプの人が激怒したといいます。
この話を読んで、本当に考えさせられました。
話の当事者の方は、今では、日本国内で農業を通じたホームレスの自立支援活動を行っていたと思います。
…もちろん、何が「正解」ということでもないと思いますが、日本も今や「新・衰退国」と呼ばれ、確実に貧困層が拡大しているというのは事実。
それならば、国外よりも国内の問題をどうにかするのが先決ではないか?というのが僕個人の意見です。
と、まあ、そういった個人的な感想は置いておいて、
この本の内容自体はさらりと読めて分かりやすいですし、ビジネス書として一読されても損はないはず。
特に「NPOで働きたい!」と思っている人には、間違いなく役立つ一冊だと思います。