2010年09月05日

社会保障の「不都合な真実」。

社会保障って、これから一体どうなるでしょうか?


社会保障の「不都合な真実」

社会保障の「不都合な真実」

  • 作者: 鈴木 亘
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2010/07/16
  • メディア: 単行本




明らかにアイキャッチを狙った「不都合な真実」には、なんとなく今さら感がぬぐえないのがちょっと賛否の分かれるところかもしれませんが、

本の内容はなかなかに硬派。本家?の「不都合な真実」よりも、とっぼとこちらの方が読み応えがある、と個人的には思うんですがいかがでしょうか?

…このあたりは、環境破壊、地球温暖化に対する価値観の問題なので、なんとも言えない部分がありますけどね。

各種メディアの報道で、年金をはじめとした社会保障が破たんの危機に瀕していることは分かりますが、それがどれぐらいひっ迫していて、どのような具体策を講じるべきなのかは、意外に知らないことが多いですよね。(少なくとも僕はそうです。。。)

この本では、そういった社会保障の問題を、年金だけでなく、医療や子育てなどについても、経済学の観点から詳しく解説し、その具体的な解決法についても言及しています。

個人的に興味を持ったのは、「病院による貧困ビジネス」の実態についてふれている部分。一時期、生活保護を使った無料定額診療所による貧困ビジネスが取りざたされていましたが、この本では、「それよりも、病院により貧困ビジネスの方が悪質」と指摘しています。

本によれば、生活保護者は医療費負担がゼロであることを使い、「患者を短期間で繰り返し転院させて診療報酬を荒稼ぎ」する病院もいるあるのだそう。

報道で明るみに出ているものは実は氷山の一角で、本当はもっと巨大なネットワークになっているという話も。

…と、そんな少しアンダーグラウンドな話も交えつつ、この国が抱える問題と真摯に向き合ったなかなかの良書。

この手の話題に触れてみたい方には、ぜひご一読をおすすめしたい一冊です。

posted by もっぴ at 11:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

デフレは終わらない。

ちょっと古めの本になるんですが。


デフレは終わらない―騙されないための裏読み経済学

デフレは終わらない―騙されないための裏読み経済学

  • 作者: 上野 泰也
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: 単行本




先日、今も僕が執筆をさせていただいている地元経済誌の講演会に参加した際、「日本経済の需給バランスからいえば、これからデフレが解消されることはない」というお話を伺い、確かに、これだけ大量生産が行われ、慢性的なモノ余りの時代に、急激なインフレが起こることは考えにくいな、と今までの考え方を少し軌道修正したところですが、

そんな時、図書館でふと目にとまったので借りてみることにしたのがこの本。

正直、あまり期待はしていなかったんですが、でも、なかなかの当たりでした。

副題は「騙されないための裏読み経済学」。「デフレは終わらない」というよりも、こちらの方がメインタイトルにふさわしい内容になっています。

発刊は2008年5月。なのであのリーマン・ショック前の「戦後最長の好景気」と呼ばれていた頃の執筆ですが、その後の状況をなんとなく予期している節も読み取れ、なかなかバランス感覚に優れた思考をお持ちの方だな〜と思いながら読み進めました。

面白かったのは、新聞や雑誌、テレビなどのコメントが「いかに信用できないか」を説明する部分。新聞記者の仕事ぶりや内情が垣間見え、「それじゃあなかなか正確な記事は書けんわなぁ」と、同じ書き手のはしくれとして同情してしまう部分も。

あと、この手の記事だけでなく、政府の財政政策、日銀の金融政策においても、「直線的シナリオを描く」というバイアスがかかっている、という指摘はとても面白いと感じました。

未来とは本来「予測不可能」なもので、今がよければ、必ず将来には悪い時期が訪れるもの。そういう見込みなしに、しばしば「現在の状態の延長線上」で未来が語られることが多い、と筆者は指摘しています。

確かに。いい時もあれば、悪い時もある。それが世の常ですよね。だからこそ、「いい時期に先手を打つ」ことが常々大切だと痛感しますが。


本の後半には、「デフレの時代、私ならこうする。」という提言が示されていて、あたらめて「自己投資」への重要性を説くなど、経済の見識を広げるだけでなく、日々の生活に活きるエッセンスも。

単に「金融・経済の本」としてかたずけるには惜しい、今読んでも面白い良書だと思います。

posted by もっぴ at 11:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

一宮創業塾。

昨年9月、地元・一宮市の商工会が主宰する「一宮創業塾」に参加したのが縁で、現在、モーニングサービスで有名な一宮にちなんだ朝の勉強会「一宮ビジネスモーニング」(略してIBM)にたびたび参加させていただいているんですが、

今年も同じような「一宮創業塾」が全5回の日程で開催されるということで、初回の後に行われた懇親会に参加してきました。

今年の創業塾に参加されている方には当日のご案内だったらしく、スケジュールの合わない方が多数いらっしゃったようですが、

それでも、08年、09年のOBの方を含め、総勢20名ほどが参加する、ちょっとした異業種交流会のようになりました。

ハウスクリーニングで独立・開業された方や、元イラストレ―タ―で鍼灸院の開設のために勉強を続けていらっしゃる方、メーカー勤務で将来的には宇宙ビジネスの展開を模索しているという方まで、バラエティーに富んだ方々をお会いすることができ、いい刺激を受けることができました!

まあ、創業するのもそんなに楽じゃないですし、「時の運」という要素も大きいので、創業する・しないは結果的にどちらでもいいと思いますが、

こうした向上心・勉強意欲の高い方たちとお話するのは、仕事のインタビューでも、そうではなくても、とても心地がいいものです。

単に飲んだり食べたりするだけでなく、次の取材ネタをきちんとリサーチするという、いい意味での「したたかさ」も存分に発揮しながら、

とても有意義な時間を過ごさせていただきました! ありがとうございました!!

posted by もっぴ at 10:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ライター日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

子どもの心のコーチング。

目下、コーチングを勉強中の友人が「売れているよ!」と薦めてくれた一冊。


子どもの心のコーチング―一人で考え、一人でできる子の育て方 (PHP文庫)

子どもの心のコーチング―一人で考え、一人でできる子の育て方 (PHP文庫)

  • 作者: 菅原 裕子
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 文庫




朝夕の保育園への送り迎え、夕食の後のお風呂、歯みがき、皮膚炎対策のクリーム塗り…。

…と、自宅兼事務所でフリーライターをしている性質上、おそらくご主人がサラリーマンというご家庭よりは、育児への参加率が高い方だと自負している2児のパパ・ライターの僕ですが、

まだまだいろんなシーンで戸惑いながら、子育てをしているという感じがします。

自営業のため、組織に属している方ほど「コーチング」への興味はないんですが、それでも、ビジネス書を読んでいるとその類の書物には数多く遭遇するわけで、

まあ、自然とその手の情報には詳しくなりつつある今日このごろなんですが、

この本の著者の方は、人材開発コンサルタントで活躍した経験を活かし、そのノウハウを使った子供へのコーチングにも力を入れている方のよう。

この本のほかにも、類書を数多く出版されているみたいです。


で、肝心のこの本の内容ですが、手軽に買える文庫本でさらっと読めるので、なかなかいいかな〜と思います。

ただ、この手の育児関係の本を結構読んでいらっしゃる方には、そんなに目新しさはないかもしれないというのが率直な印象です。

親の「ヘルプ」が子どもをダメにする
親子から子への最高の贈り物「サポート」
親は子どもをサポートし、才能を開花させるコーチ

…といった内容は、タイトルそのまま、「子どもをコーチングする」という趣旨のことが書かれているんですが、「そうはいってもなかなか難しいよねぇ」と感じる親御さんも多いのではないでしょうか? 

あと、「第4章 心を結ぶ聴き方・伝え方」には、子供との会話をロールプレイング風に書いているんですが、なんだか同じような内容を自己啓発本系のビジネス書で見たような記憶が…。 

ただ、おそらく育児本を読む方にはビジネス系の本に馴染みのない方も多いと思いますので、そういった方には、こうした会話のトレーニングはとても参考になると思います。


個人的に一番興味深く読んだのは、「子どものコミュニケーションは親次第」という内容。

簡単に言うと、親はきちんと自分の意思表明をして子供に話すべき、というもの。

例えば、「先生からもいってやってください」とか、「ママに怒れるよ」とか、他人を借りて自分の意思表示を回避したコミュニケーションの取り方は、自分の言ったことに責任を取らない話し方を教えているようなもの、だとこの本の著者はいっています。

確かに、子どもへの影響はもちろん、一人の社会人としてこうした発言の仕方には注意しないとな、と考えされられました。

…まあ、つまるところ、子供に「ああして欲しい」「こうして欲しい」と言う前に、自分自身の襟元を正せ、ということなんでしょうね。


ちなみに、以前読んだビジネス書によると、子育て情報には一種のバイアスがかかっていて、統計的な情報から冷静に判断すると、「親が思っている程、子供のその後の人生には、親の人格・しつけ、経済的な援助などは影響しない」らしいので、

(※ちなみに、影響力が最も大きいのは「友人などとの人づき合い」らしい。そういう意味では、まあ、親の経済力は「いい学校に入学できる」という意味で、あながち無関係でもないと思いますが)

必要以上に悩みすぎて、親自身がストレスを抱え込むのが一番の問題じゃないかと思いますが、

それにしても、親として最低限の子育ての理解は必要だろうなと思いますので、機会があればざっと読んでみて損はない一冊かなとは思います。

文庫本でたったの580円。読書時間もせいぜい1時間。これで一つでもタメになることが得られれば、とても安い自己投資だと思いますが、いかがでしょうか?

posted by もっぴ at 09:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ストラテジック・マインド。

有名なコンサルタントの代表作のひとつ。


ストラテジック・マインド―変革期の企業戦略論

ストラテジック・マインド―変革期の企業戦略論

  • 作者: 大前 研一
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 1984/01/15
  • メディア: 単行本





どんな本を読んだらいいのか?と悩んだ時、僕はよく「●●が選ぶお勧めの本」みたいなガイドから当たりをつけるんですが、

先日、「MBAが選ぶおすすめの一冊」みたいなガイドに書いてあったのがこの本。

大前研一氏のことは、頻繁にビジネス雑誌に登場する人ですし、知らないわけではなかったんですが、

実際に氏の著書を読むのははじめて。一体どんな内容なんだろう?と興味津津で手に取りました。

で、内容は?というと、なかなか読み応えがあり、1984年に発刊されたとは思えないほど、現代のビジネスシーンにも活かせる思考法が満載されていました。

具体的な事例を挙げつつ、事業の問題を解決に導く考え方のヒントを提示。

単に「こうすればいい」という答えを教えるのではなく、どんな状況にも対応できる思考力を養うための本、といった感じでしょうか?

「論理的な考え方のトレーニングをしたい」という方には、うってつけの一冊なのではないかなと思います。

…ただ、だいぶ古い本なので、本の中に登場する経済の状況は今とは全く異なります。まだインターネットや携帯電話もない時代ですからねぇ〜。そのあたりはご納得の上で手に取っていただきたいな、と。

それにしても、昭和から平成への時代の流れの中で、いろんな機械やサービスが登場しましたが、一見便利になったようで、余計に忙しくなったような気がしてならないのは僕だけでしょうか?

posted by もっぴ at 08:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする