基本的な長期投資の考え方には賛成ですが。
最近、メディアに登場することも多いセゾン投信・中野晴啓社長が書いた一冊です。
以前に担当の編集者さんからツイッターでメッセージをいただいていたこともあり、ずっと読まないといけないな〜なんて思っていた本なんですが、
肝心の内容は?というと、個人的には「強く納得!」な部分もあり、ちょっと「?」な部分もあるというのが正直な感想でしょうか。
特に「?」がついたのが、後半、おすすめの投資信託を選ぶ前提条件。
「(2)分配金を全額再投資に回してくれること」
「(3)購入時手数料がかからないノーロード型で、信託報酬が低いこと」
なんていうのはいい気がしますが、最後、
「(6)投資対象は「国際分散型」」という前提条件は、ちょっといかがかな、と。
この条件を入れてしまうと、国内+海外という組み合わせでもっとコストを安くするといったその他の選択肢を自然に排除する結果になりかねない。
で、そんな条件に当てはまる「おすすめ8本」のなかに、ご自身の会社の2本の投信信託が入るという結果に(笑)。
う〜ん…。これだと、自分の会社の投信が入るように条件設定と思われてもしかたがないような。。。
まあ、セゾン投信の商品自体は決して悪くはない商品だとは思いますが、「信託報酬は安く」という条件を上げているにも関わらず、おすすめの8本のなかに、信託報酬1%超えの投資信託がたくさん入っているのはどうかと思いますし、
長期投資の観点からすれば、よりよい選択肢になりうるETF(上場投資信託)について、ほとんど触れらえていないのも、なんだか作為的な気がしてきてしまいます。
もっと公平・中立な立場で、具体的な商品を挙げずに「よりよい投資信託」について語ってもらえたら、結果的にセゾン投信のPRにもつながってもっとよかったんじゃないかな〜なんて個人的には思います。(もしかしたら自費出版??)
…というわけで、なんだか批判的な文章になってしまいましたが、
とりわけ前半部分には「目からウロコ」な内容もたくさんありますので、この本からは、長期投資の考え方、マインドの部分を勉強するに留め、
具体的な商品選びは、ご自身の投資に関するスタンスをきちんと見極めながら、より冷静に判断した方がいいかなと思います。