2012年01月20日

絶望の国の幸福な若者たち。

へえ〜、最近の若者って、結構、海外に行っているんですね。

絶望の国の幸福な若者たち [単行本] / 古市 憲寿 (著); 講談社 (刊)

絶望の国の幸福な若者たち [単行本] / 古市 憲寿 (著); 講談社 (刊)


「世界一周99万円!」でおなじみの「ピースボート」のルポ『希望難民ご一行様』で話題を呼び、気鋭の若者論者として知られる古市憲寿氏。そんな彼が、持ち前の「若者論」を展開した一冊が、この『絶望の国の幸福な若者たち』です。

なんだかタイトルからして意味深な感じですよね。

で、本の中身は?というと、これがまた興味深くて実に面白い! 今まで想像してきた若者像が、どれだけ「単なる妄想」だったのかを思い知らされます。


例えば、最近の「若者は海外に行かなくなった」という話。

本書によれば、確かに海外に行く20代の数は減っているものの、それでも2割の人が海外に行っている。これは、1992年頃の水準に戻ったにすぎないそうです。

また、留学生を見てみると、2004年の8万3000人をピークに毎年減少を続け、2008年には6万7000人まで下がっているそうですが、留学生のピークはバブル期ではなく、2000年代の中頃のこと。2008年の数字も1998年の水準に下がった程度でしかないといいます。

さらに、1996年から2010年にかけて、日本の若者人口が3割近く減少していることを考慮し、留学適齢人口あたりの留学生数を「留学者率」として算出してみると、留学生の数はいまだに過去最高水準をキープしている。

これには、僕も含め、大きな誤解をしている人が多いのではないでしょうか。


また、最近の若者は、自分たちのことを「幸福」だと考えているという調査結果が出ているそうですが、

筆者は、数多くの幸福感に関する調査から、人は「今日よりも明日がよくならない」と思う時に、「今が幸せ」だと感じるものだと分析。

若者たちが「幸福感」を抱いているのは、「今後の日本が悪くなる」ことを確信しているからだと説いています。


…と、本書では、こんな具合に若者のリアルな生態を、統計を元にあらゆる角度から分析しており、「へえ〜、ホントのところはそうなのね」と若者に対する見方が変わること請け合いです。

それにしても、「明日が良くならないと信じているから、今が幸福だと思う」という発想は、目からウロコ!

日本で行われる幸福度調査では、他国に比べて「今は幸せだと思わない」という人が多いとよく言われますが、

本書の考え方でいけば、日本人は「この社会はもっと良くなる!」と信じている証だということになります。

日本人は、まだまだ自国の再浮上を確信し続けている! 

そう思うと、なんだか日本の未来は明るいような気がしてくるのは、僕だけでしょうか。


posted by もっぴ at 19:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

大停滞。

なんとなく、世界が停滞している感じがしませんか?

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最近、世界的にも注目を集めているという経済学者が書いた一冊。それほど分厚い本ではありませんし、その主張がなかなか興味深いこともあり、さらりと読了することができました。

書者の主張によれば、現在のアメリカ経済の停滞を生み出している主な原因は、以下の3つが枯渇してきたことにあるといいます。

1、無償の土地
2、イノベーション(技術革新)
3、未教育の賢い子どもたち

本書では、この3つを「容易に収穫できる果実」と捉え、現在はすでにこれらの果実が「食べつくされた状態にある」というのです。

確かに、「技術革新」という部分を考えてみると、個人的な実感としても、子どもの頃から身の回りの生活ってあんまり変わっていないような気が。

テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、自動車、飛行機、ビデオ…などなど。もちろん性能は格段に良くなっているのでしょうが、月に簡単に行けるようになったりはしていないですし。。。

小さい頃になかったものと言えば、携帯電話とインターネットぐらいですもんね。

もちろん「インターネット」は世界を変えるぐらいのインパクトを持ったイノベーションだと思いますが、IT関連のサービスは、本書でも述べられているように、過去のイノベーションのような大きな雇用や収入を生み出していないように思えます。

さて、今後、世界の人々を停滞から救う「革新的な技術」は生まれてくるのでしょうか。

これからの若い世代に期待したいものです! (超・他力本願)


posted by もっぴ at 18:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする