出版不況の大きな原因の一つに、全体の約40%強にも上る「返本率」が上げられることが多いが、
それに一石を投じる仕組みを、大手出版社が率先して導入するという内容だ。
新制度では、書店は本を仕入れる際に、「計画販売制」と呼ばれる新手法と、従来の返品自由な「委託販売制」のいずれかを選択できるらしい。
この「計画販売制」では、売れ残りが発生しても、返品は受け付けず、定価の30%で買い取る方式を取るという。
その分、仕入れ値は、定価の約78%から65%へと下がるため、書店側にとっては利幅が大きくなる。
要は、書店側に、ローリスク・ローリターンか、ミドルリスク・ミドルリターンかの選択を迫る、というわけだ。
従来型では、書店側が自由に返本できるため、実際に売れる量よりも多めに発注することが多かったようだが、これによって、より実数に近い発注数になるのではないかと期待されている。
ただ、この制度、出版社側にとってはいい仕組みに映るが、書店側にとってメリットの大きい制度なのだろうか?
ただでさえ、町の書店の疲弊ぶりが顕著になっている現状で、果たしてミドルリスクとはいえ、今以上のリスクを抱えてやっていける書店がどれほどあるのだろうか?
大量の本を販売できる大型書店は利益を確保できるが、一方で、中小書店がますます苦境に立たされるのはないか、という気さえする。
なかなか複雑な問題を内包しているように見てとれるが、いずれにしても、「出版業界も変わらなければいけない」というのは事実。
僕自身も、日本の出版界を、かな〜り底辺の方から支える一人として、常によりよい方向への「変化」を求めていかなければ、と思います。
【関連する記事】