知人から借りた名著のひとつ。
今では「部下を褒めて伸ばす」なんて、結構そこらへんで聞くフレーズのように思えますが、
この本が出た1983年頃は、一体どうだったんでしょうか?
今でも読まれ続けるビジネス書の歴史的名著の一つですが、
その秘密は、やはり「1分間」というキャッチーなタイトルと、簡潔ながら実りの多いその内容にあると思います。
単に理論を並べたてる解説書ではなく、一つの物語形式になっていますので、
難解なビジネス書が苦手という方でも、きっとすんなりと腑に落ちるはず。
冒頭、物語の中で、優秀なマネジャーの象徴として描かれている<1分間マネジャー>が座右の銘として紹介するフレーズに、
「気分のよい部下は、よい結果を生む。」
なんていうのが出てきますが、
これ以外にも、いかに人をうまく導いていくとよいか、その方法にまつわる「金言」が随所にちりばめられています。
特に、<1分間叱責法>の中で語られている、
失敗を犯した「人間」を叱るのではなく、はっきりと具体的に「行動」を叱る、という部分などは、
先日読んだ『EQ』に書かれていた、
夫婦間のもめごとでは、決して相手の人格を否定する言い方をしてはいけない。常に相手の「行動」について指摘しないといけない。
という内容にも通じる部分があると感じました。
また、
先日読んだ、リスクや確率に関する本の中に、「平均回帰」というお話が出てきていたんですが、そこで、
「叱ることで部下がいい結果を出す」という思考回路には、実は大きな勘違いが潜んでいて、
単純に、その人の実力の平均値よりひどく悪い結果が出た時に叱るから、その次には平均値に近い結果が出る確率が高く、結果的に叱った効果が現れたように見えるにすぎない。
なんて内容が書かれていたことも思い出し、
「褒め方」「叱り方」の大切さを、今一度考えさせられました。
人間性は否定せず、本人が犯した行動のみを叱り、そのうえで最後に、「自分は君の味方だ」「高く評価している」という絶対的な好意を表現する――。
…難しいそうに聞こえますが、この本を読んでいると、「なんだ、簡単そうだな〜」と思わせくれるところが、この本の魅力なのかもしれません。
僕自身、個人事務所ですから、あまりマネジメントスキルをフルに発揮するというシーンはすくないんですが、
それにしても、外部のスタッフさんと一緒にお仕事をしたり、ましてや家族内では、しっかり子供を育てるマネジャーの一人なわけで。
こうした観点からすれば、どんな方が読んでも、何かしら為になることの多い一冊だと思います。
人材掌握術に悩む方は、ぜひご一読を。
2010年04月28日
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