2010年07月03日

フィンチの嘴。

最近、ご無沙汰でしたが、久々に読書。


フィンチの嘴―ガラパゴスで起きている種の変貌 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

フィンチの嘴―ガラパゴスで起きている種の変貌 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 作者: ジョナサン ワイナー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2001/11
  • メディア: 文庫




こちらは進化論について書かれた、その筋の方にはかなり有名な一冊(のようです)。

いろんな本で引用されているのを見かけ、ちょっと覗いてみようかな?と手に取ってみました。

そもそもダーウィンの『種の起源』が、かなり推測の状態で書かれたものというのが意外な発見だったんですが、

この本の中では、ガラパゴス諸島で研究を重ねた夫婦が、実際に起こる進化の過程を詳細な実証データに基づいて解明していくその様を描いています。

というわけなので、結論的なものにたどりつくまで、かなり長い(笑)。

ここらへんに興味のある方なら面白く読み進められるんでしょうが、あまりにまどろっこしいので、ざっくり斜め読みを敢行!

でも、随所に興味深い内容がちりばめられていて、いい本だなという印象は受けました。

…ただ、本の発刊自体が15年前なので、今読むとそんなに目新しい感じもないですが。。。


個人的に気に入った部分。

「変わり者はこのようなときには有利だ。このように熾烈な競争を多少でも避けられれば、それだけで大きな解放だ。新しい島を見つけたようなものである。」

これは、自然選択について語った部分の一説ですが、

要するに、少しでも同じ種類の生き物と違う餌、違う住みかを発見したものは、

それだけで厳しい競争から離れることができ、もっと楽に生きられる、ということを言っています。

これって、人間社会でもいえることですよね?

ビジネスでいえば「差別化」。ちょっとの違いが激しい競争を免れる手段になり得たりするわけです。

「みんなと一緒」を目指すと、際限なき競争に巻き込まれ、最終的に生き残れる会社、個人にならないといけない。

もちろんそれができるだけの実力を備えていればいいですが、それってかなり苦しいですよね?

それならば「変わりもの」になればいい。その方がずっと楽に過ごせる、というのです。

自然って、いろんなことを教えてくれるな〜としみじみ感じます。


また、本の後半には、農薬や化学薬品に対する虫やウイルスたちの「抵抗運動」が紹介されています。

こうした圧倒的な「選択圧」が掛けられると、その薬品に対して抵抗性を持つ個体のみが生き残り、それが繁殖をつづけることで、いつしか耐性の生物ばかりが増殖することになる。

これも、ある種の「進化の過程」だと語っています。


一見、日常生活には全く関係のないように思える「進化」ですが、この本を読むと、すぐ間近で「現在進行形の進化」が巻き起こっていることを痛感させられます。

自然というシステムの偉大さを改めて認識するとともに、実社会で生き残るための手立てを見つけるカギも見つかりそうな、そんな一冊だと思います。

posted by もっぴ at 04:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック