最近、何かと話題のこの方の著書。
元京セラの創業者にして、現在はあのJAL再建の陣頭指揮を執るカリスマ経営者、稲盛和夫氏の著書を手にとってみました。
それにしても、「アメーバ経営」というフレーズ。なんともインパクトがあるというか、全く関心のない人でも、なんとなく興味が湧く不思議な魅力があると思います。
この本を手に取る前は、「スライムみたいに、どろどろとネチッこく商売をする」なんて勝手な想像を膨らませていましたが(笑)、
申し訳ありません! 全くの見当違いでした。。。
アメーバとは、会社の細分化した小集団をさす言葉。京セラでは、通常の事業部制ではなく、もっと細分化した小さなグループを構成し、その「アメーバ」のリーダーを中心にメンバー全員がそのグループの経営に携わる、という独自の経営手法をとっているとのこと。
副題に「ひとりひとりの社員が主役」とある通り、社員全員が経営者的な発想・感覚を共通することで、コスト意識が浸透し、同氏が掲げる「売上を最大に、経費を最少にする」という指針を社員全員が共有できたといいます。
また、アメーバ経営では、小集団ごとの経費と売上に着目するだけでなく、その「時間当たりの利益」にも徹底的にこだわり、
常に総時間を意識し、自部門の生産性向上への努力を続けることで、会社全体の生産性を高め、市場競争力を強化していったといいます。
…この手のビジネス書、とりわけ成功本には、「後知恵」というバイアスがかかってます。
同じような手法を実践して失敗した経営者は注目されず、同様の手法で成功したものだけが成功本になるわけですし、「成功した後からなら、その成功の理由づけならだれでもできる」という側面はどうしてもぬぐえません。
ですから、著者の成功をそのまま鵜呑みにして、「だれもが成功できる!」と考えるのは、大いなる誤解に陥る可能性が常に付きまいといますが、
そうしたバイアスを冷静に判断したとしても、いろんな知恵を授けてくれる良書ではないでしょうか?
経営と会計について、より実践的にまとめた『稲盛和夫の実学』という本もあるようですので、そちらも一度覗いてみたいなと思います。
2010年07月19日
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