子どもの心のコーチング―一人で考え、一人でできる子の育て方 (PHP文庫)
- 作者: 菅原 裕子
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2007/10
- メディア: 文庫
朝夕の保育園への送り迎え、夕食の後のお風呂、歯みがき、皮膚炎対策のクリーム塗り…。
…と、自宅兼事務所でフリーライターをしている性質上、おそらくご主人がサラリーマンというご家庭よりは、育児への参加率が高い方だと自負している2児のパパ・ライターの僕ですが、
まだまだいろんなシーンで戸惑いながら、子育てをしているという感じがします。
自営業のため、組織に属している方ほど「コーチング」への興味はないんですが、それでも、ビジネス書を読んでいるとその類の書物には数多く遭遇するわけで、
まあ、自然とその手の情報には詳しくなりつつある今日このごろなんですが、
この本の著者の方は、人材開発コンサルタントで活躍した経験を活かし、そのノウハウを使った子供へのコーチングにも力を入れている方のよう。
この本のほかにも、類書を数多く出版されているみたいです。
で、肝心のこの本の内容ですが、手軽に買える文庫本でさらっと読めるので、なかなかいいかな〜と思います。
ただ、この手の育児関係の本を結構読んでいらっしゃる方には、そんなに目新しさはないかもしれないというのが率直な印象です。
親の「ヘルプ」が子どもをダメにする
親子から子への最高の贈り物「サポート」
親は子どもをサポートし、才能を開花させるコーチ
…といった内容は、タイトルそのまま、「子どもをコーチングする」という趣旨のことが書かれているんですが、「そうはいってもなかなか難しいよねぇ」と感じる親御さんも多いのではないでしょうか?
あと、「第4章 心を結ぶ聴き方・伝え方」には、子供との会話をロールプレイング風に書いているんですが、なんだか同じような内容を自己啓発本系のビジネス書で見たような記憶が…。
ただ、おそらく育児本を読む方にはビジネス系の本に馴染みのない方も多いと思いますので、そういった方には、こうした会話のトレーニングはとても参考になると思います。
個人的に一番興味深く読んだのは、「子どものコミュニケーションは親次第」という内容。
簡単に言うと、親はきちんと自分の意思表明をして子供に話すべき、というもの。
例えば、「先生からもいってやってください」とか、「ママに怒れるよ」とか、他人を借りて自分の意思表示を回避したコミュニケーションの取り方は、自分の言ったことに責任を取らない話し方を教えているようなもの、だとこの本の著者はいっています。
確かに、子どもへの影響はもちろん、一人の社会人としてこうした発言の仕方には注意しないとな、と考えされられました。
…まあ、つまるところ、子供に「ああして欲しい」「こうして欲しい」と言う前に、自分自身の襟元を正せ、ということなんでしょうね。
ちなみに、以前読んだビジネス書によると、子育て情報には一種のバイアスがかかっていて、統計的な情報から冷静に判断すると、「親が思っている程、子供のその後の人生には、親の人格・しつけ、経済的な援助などは影響しない」らしいので、
(※ちなみに、影響力が最も大きいのは「友人などとの人づき合い」らしい。そういう意味では、まあ、親の経済力は「いい学校に入学できる」という意味で、あながち無関係でもないと思いますが)
必要以上に悩みすぎて、親自身がストレスを抱え込むのが一番の問題じゃないかと思いますが、
それにしても、親として最低限の子育ての理解は必要だろうなと思いますので、機会があればざっと読んでみて損はない一冊かなとは思います。
文庫本でたったの580円。読書時間もせいぜい1時間。これで一つでもタメになることが得られれば、とても安い自己投資だと思いますが、いかがでしょうか?