老後に本当はいくら必要か (祥伝社新書192) (祥伝社新書 192)
- 作者: 津田 倫男
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2010/01/30
- メディア: 新書
先日の試験の自己採点の結果、「たぶん合格!」となる見込みですので、ちょっとひと安心しながら読んだ一冊。
ファイナンシャルプランナーというのは、お金に関するライフプランを立案する仕事で、老後の資産設計などももちろん話題に出てくるわけですが、
プランを作成するうえでは、基本的に「老後はこれぐらいお金かかかる」という前提の数字を疑いもなく採用していて、
じゃあぶっちゃけお金がないと生きていけないの?という部分には、深い突っ込みを入れることはありません。
…プランニングでは、死亡や病気時、老後の資金などがショートしてくれないと、生命保険などの見直しが勧められないという側面がありますから、ある意味、不安をあおるための理由づけとして「どうしても老後資金は高めに設定したい!」という思惑が働く可能性が高いわけです。
この本では、そんな「老後のお金に対する疑問」を取り上げた内容になっていて、その手の悩みを抱えている定年間際の方には、なかなか心強い一冊なのでは?と思います。
内容をざっくりまとめると、要は「その人次第」ということ。
生活を切り詰めれば、現行の年金支給金額でも十分に生活は成り立つし、余裕が欲しいという人は老後までにお金をコツコツためればいい。
そんなお金の心配をするよりも、人生を豊かにするために「生きがい」を見つけ出すことの方が重要だ、と著者は語っています。
また、その「生きがい」を探すうえでは、老後の時間を活かして「起業」なんていうのも魅力的な選択肢のひとつなのでは、というのが筆者の主張です。
結果的に「楽観主義、前向きな考え方が大事」と結論づけてしまっているあたりはいささか物足りなさを感じてしまいますが、おそらく老後の真相というのは、こういったアバウトな答えで解決できてしまうものなんだろうな〜とも。
それよりも、老後の生活について過剰に不安を抱き、素人考えでリスクの高いデリバティブや、非現実的なリターンを謳う詐欺商品などに手を出して、取り返しがつかない損失を発生させる方が、より危険が大きいともいえなくもありません。
普段から地に足を付けた生活を心がけ、コツコツと貯金してきた余剰金で、つつましい老後を過ごす。なにも難しいことではないような気がするんですが、これが一番難しかったり。。。
ともあれ、「目の前の生活を、より前向きに、楽しく生きること」が大切なんだな〜と、しみじみ感じた一冊でした。