![組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか [単行本] / 菊澤 研宗 (著); ダイヤモンド社 (刊) 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか [単行本] / 菊澤 研宗 (著); ダイヤモンド社 (刊)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/518DT48DNFL._SL160_.jpg)
勝間さんって、最近、一時の勢いがなくなってきた感もありますが、個人的には勝間さんの著書にある「おすすめのビジネス書」から次の候補を選ぶことが多く、なかなか重宝させてもらっているんですが、
で、この本もそんな「おすすめ本」から選んだ一冊。それがなければ、こんな本、多分一生手に取ることなかったでしょうね(笑)
ダイヤモンド社の『組織の不条理』。著者の方は、慶応大学で商学博士になられた後、防衛大学の教授になった方のようで、会社の経営や組織論などがご専門みたいです。
で、本の内容は?というと、サブタイトルに「なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか」とあるとおり、第二次世界大戦の日本陸軍の戦いを、「最新の組織の経済学」の視点から振り返り、その上で、現在の企業経営に役立てていく、というのが大きな流れになっています。
そのため、本の前半は、第二次世界大戦の「ガダルカナル戦」「インパール作戦」と、「ジャワ軍政」「硫黄島戦・沖縄戦」の解説が続くんですが、
予想を反して、これがとても興味深い。
戦争を知らない世代ということもあり、戦いの名称自体も把握していなかったわけですが、この本では、具体的に戦いの展開を解説してくれていて、戦争を知る意味でも非常に勉強になります。
その後、後半では、具体的な事例を交えて、「ではいかに組織の不条理を未然に防ぐのか」という部分へと進んでいくわけですが、
まず大前提として、「人間は完全合理的に行動するのではなく、限定合理的に行動する」ということを理解する重要性を説いています。
人間というのは、基本的に限られた情報のなかでしか合理的に行動できません。
例えば、ビジネスシーンを考えてみても、自分の状況については100%把握できたとしても、取引先や顧客の情報などはその全貌を理解するのは100%無理でしょう。
これがベストの選択だ!と進んだ選択肢も、常に、部分的な情報に基づいた「限定的な合理的選択」でしかない、というわけです。
だから、最も大切なのは、「自らが無知であること」「常に誤りうること」を自覚すること。
成功事例も、失敗事例も、常に「限定的な合理性の産物」であることを認識し、現状に対する「批判的な検証」を繰り返すことの重要性を指摘しています。
…と、解説しはじめると延々と続いていきそうなので、ぜひ興味のある方はご一読を!
図書館で借りましたが、久々に「読了後も改めて買っておきたい!」と思わせる一冊でした。
もっぴさんの書評は、最初の1文が効いています。キャッチというのは大切ですね。
ちなみに今ですと、日経ビジネス人文庫から『組織は合理的に失敗する』というタイトルで改訂版が出ているみたいです。もしおお買い求めされるなら、こちらの方がリーズナブルで良いと思いますよ!
最初の1行ですか? たぶん、な〜んも考えずに思いつきで書いているから逆に良いんでしょうか(笑)