2010年11月24日

組織の不条理。

キターーーー! 今年のベスト・オブ・名著…かも。

組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか [単行本] / 菊澤 研宗 (著); ダイヤモンド社 (刊)

勝間さんって、最近、一時の勢いがなくなってきた感もありますが、個人的には勝間さんの著書にある「おすすめのビジネス書」から次の候補を選ぶことが多く、なかなか重宝させてもらっているんですが、

で、この本もそんな「おすすめ本」から選んだ一冊。それがなければ、こんな本、多分一生手に取ることなかったでしょうね(笑)

ダイヤモンド社の『組織の不条理』。著者の方は、慶応大学で商学博士になられた後、防衛大学の教授になった方のようで、会社の経営や組織論などがご専門みたいです。

で、本の内容は?というと、サブタイトルに「なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか」とあるとおり、第二次世界大戦の日本陸軍の戦いを、「最新の組織の経済学」の視点から振り返り、その上で、現在の企業経営に役立てていく、というのが大きな流れになっています。

そのため、本の前半は、第二次世界大戦の「ガダルカナル戦」「インパール作戦」と、「ジャワ軍政」「硫黄島戦・沖縄戦」の解説が続くんですが、

予想を反して、これがとても興味深い。

戦争を知らない世代ということもあり、戦いの名称自体も把握していなかったわけですが、この本では、具体的に戦いの展開を解説してくれていて、戦争を知る意味でも非常に勉強になります。

その後、後半では、具体的な事例を交えて、「ではいかに組織の不条理を未然に防ぐのか」という部分へと進んでいくわけですが、

まず大前提として、「人間は完全合理的に行動するのではなく、限定合理的に行動する」ということを理解する重要性を説いています。

人間というのは、基本的に限られた情報のなかでしか合理的に行動できません。

例えば、ビジネスシーンを考えてみても、自分の状況については100%把握できたとしても、取引先や顧客の情報などはその全貌を理解するのは100%無理でしょう。

これがベストの選択だ!と進んだ選択肢も、常に、部分的な情報に基づいた「限定的な合理的選択」でしかない、というわけです。

だから、最も大切なのは、「自らが無知であること」「常に誤りうること」を自覚すること。

成功事例も、失敗事例も、常に「限定的な合理性の産物」であることを認識し、現状に対する「批判的な検証」を繰り返すことの重要性を指摘しています。


…と、解説しはじめると延々と続いていきそうなので、ぜひ興味のある方はご一読を!

図書館で借りましたが、久々に「読了後も改めて買っておきたい!」と思わせる一冊でした。

posted by もっぴ at 05:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いい本に巡り合えたようですね。この本、私もぜひ読んでみます。
もっぴさんの書評は、最初の1文が効いています。キャッチというのは大切ですね。
Posted by ぐるぐる at 2010年11月24日 10:33
いつもコメントありがとうございます!

ちなみに今ですと、日経ビジネス人文庫から『組織は合理的に失敗する』というタイトルで改訂版が出ているみたいです。もしおお買い求めされるなら、こちらの方がリーズナブルで良いと思いますよ!

最初の1行ですか? たぶん、な〜んも考えずに思いつきで書いているから逆に良いんでしょうか(笑)
Posted by もっぴ at 2010年11月25日 06:17
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