以下、そのコメントです。
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突然のコメント申し訳ありません。
私、名古屋でフリーライターを目指しております○○と申します。
年は23で、現在は食品関係の会社に勤めております。
今回、質問というより相談がありコメントさせて頂きました。
フリーライターとしてやっていく上で、充分に稼ぐことができるのか
ということが不安に思っております。
やはり、仕事が得られないことには生計を立てることも難しく、
平井さんが仕事をどのようにして作っていったのかを教えて頂きたいです。
それか、最初は広告会社で経験を積んだほうがいいのでしょうか?
非常に陳腐で甘えのある質問で申し訳ありません。
お忙しいのは重々承知ですが、答えて頂けると幸いです。
何卒よろしくお願い致します。
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フリーライターとして10年、自分で振り返ってみても、「よくやってこれたなぁ」と思いますし、「運が良かった」というのが率直な感想です。
ただ、それではせっかくコメントを頂戴したのに何のアドバイスにもなりませんから、僕なりのフリーライターになる方法、そして「食う方法」をまとめてみようかな、と思います。
※と、かなり長くなるので、このへんで。
気になる方は【つづき】からお読みください。
名古屋在住のフリーライターさんにお会いすると、やはり基本的にはどこかの出版社なり、編集プロダクションなり、広告代理店なりにしばらく勤めた経験をお持ちの方がほとんどだと思います。
そんな中、僕はほとんど経験のないままフリーとして24歳で独立しました。でもなんとか10年間仕事を続けてこられたのは、「ライター以前の経験が活きたから」だと思います。
実は、僕は名古屋ではかなり有名なブラック系企業の出身です。「…出版」という社名から、「近い将来、本の編集者になれる!」と思い入社を決めましたが、実情は毎日のように飛び込みで営業を行う訪問販売の会社でした。(しかも僕が苦手だった英語の教材販売!)。
毎日のように100件ほどのお宅を訪問。その中から販売可能な対象者を見つけ出し、営業トークをし、その場で即決してもらうという仕事です。これを1年近く続けた後、今度は法人向けの営業部署へと異動しました。で、ここでも新規の飛び込み営業です。
しばらく電話回線の飛び込み営業を続けた後は、コピー機のテレアポを経験しました。朝8時から夜11時までひたすらアポを取るための電話をかけ続け、アポが取れた会社に訪問、100万円ほどのコピー機をその日に即決で成約してもらう、という仕事内容でした。
今考えるとかなり無茶な営業方法だと思いますし、当時は「なんでこんな仕事してるんだろう?」なんて疑問に思っていましたが、この会社で2年間にわたり営業を続けたことは、ライターの仕事を続けるうえでとても役に立ちました。
それまでの自分はお世辞にもコミュニケーション能力が高い方ではありませんでした。でも、フリーライターの仕事はおそらく文章を書く能力以上に、人と話す力が必要な仕事です(もちろん内容にも寄りけりですが)。
フリーライターは小説家とは違います。文章作成には、依頼主からの明確な意図があります。どんな相手に読ませたいのか、どんな内容を伝えたいのか、そういった意図をくみ取るためには、人とのコミュニケーションがとても重要です。さらに、原稿のネタとなる取材時には、きちんと人と話せることが“大前提”です。(…あんまり大それたことは言えないかもしれませんけど。。。)
出版社だと思いきや、超ハードな営業会社に勤めてしまった僕。でも、やっぱり僕はどうしても編集者やライターの仕事がしたい!と思っていました。そこで当時の僕が考えたのが、「今までの営業経験を活かしてなんとか理想の仕事に近づく」という方法でした。で、名古屋の小さな出版社に「広告の営業マン」として入り込んだのです。
ただ、今だから話しますが、当初からそこに安住するつもりはありませんでした。一刻も早く仕事を覚えるため、新規のお客様に飛び込みで訪問し、契約を取りつけ、「契約を取るだけでなく、自分で制作もしたい!」と文章作成、写真撮影、ページのデザインをすべて自分でこなしました。会社に無断でイラストレータやフォトショップの手引書を自宅に持ち帰り、一心不乱に読みあさりました。
実は、以前の営業会社では、PCすらほとんど触ったことがありませんでした。出版社の入社試験の面接で「PCを使えないと仕事にならない」と言われ、帰り道にそのまま家電量販店に直行、それまでの貯金のほとんどをはたいて30万円の最新ノートパソコンを購入しました。
その小さな出版社で、営業と兼務しながら原稿の書き方やデザインの方法の基礎を学び、わずか半年足らずで「フリーで仕事がしたい」と直談判。と同時に、名古屋の編集プロダクションに営業をかけました。…といっても制作の経験はかじった程度、業界の知識やツテもありませんでしたから、まずはどうやって営業先を探すか?から考えました。
そこでふと目に留まったのが、求人情報誌に掲載されていた「編集者募集」の記事でした。編集者を募集しているぐらいだから、もしかしたらフリーランスのライターも探しているかもしれない。そこでその会社に電話してみることにしました。
今ではジャケットを着る程度のラフな格好で仕事をすることが多くなりましたが、当時は営業兼制作担当者でしたから当然のようにスーツです。それが偶然にも先方の担当者さんに気に入られ、そこから旅行関係の仕事を定期的にいただけるようになりました。
その後は撮影の折にお会いするカメラマンさんなどと仲良くさせてもらい、何か機会があるごとにご紹介をいただけるようになりました。さらに、このブログをご覧いただき、「ライターを探しているんですけど」とお問い合わせいただくことも増えました。
ただそれでも営業活動はマメにやっていました。フリーになって3年間ぐらいはフリーペーパーの広告営業も続けていたと思います。また、本屋やコンビニにある雑誌の奥付を調べ、ライター募集の告知を見るや、片っ端から「こんな特集はどうですか?」という企画書を添えて職務経歴書を郵送したりもしました。(…それにしても、当時は本当に熱心だったなぁ…)
…と、かなり長くなりましたが、僕がライターになった経緯と仕事の見つけ方はこんな感じです。
で、質問者の方の本題である「食えるか?」というお話ですが、これは「個人による」というのがおそらく正解だと思います。
統計的に見れば、新規開業した個人事業主のなかで、10年以上存続できるのはわずか1割程度だと言われています。そんな状況を鑑みれば、フリーランス=個人事業主であるフリーライターは、それなりに生存率の高い業種なのではないかな?と、個人的には思います。
ただ、質問者の方が「食える」というレベルをどこに置くかで話はだいぶ違ってきます。一生独身・実家住まいで生き続けるのではあれば、おそらく月20万円で暮らしていけると思いますし、専業主婦の奥さんと子供三人を養っていくというのであれば、月40万円ぐらいはないとかなり厳しいのではないでしょうか?
僕はフリーライターと同時にファイナンシャルプランナーでもありますから、まずはこうした人生設計をきちんと立ててみることを強くお勧めします。将来どんな人生を歩みたいのか、それを実現するためにはどれぐらいのお金が必要なのか、そのお金を確保するには毎月どれぐらいの収入を得ないといけないのか。好きな仕事をフリーで続けるためには、こうした視点がとても重要です。
僕の場合、若さも手伝って勢いだけでなんとかやってこられましたが、これからフリーランスを目指すのであれば、やりたい!という「パッション」と同時に、将来を見据えてきちんと分析を行う「冷静かつ客観的な目」も大切だと思います。
こんな無謀な僕ですが、フリーになった時には5カ年計画を立て、毎年どれだけの売上を上げるのかをきちんと設定し、5年後にはその目標を達成していました。毎月の収入はもちろんのこと、退職金や老後の資金まで自分で確保しないといけないのが自営業です。家族を持ち、老後の安定も視野に入れるのであれば、おそらく最低でも600万円前後の売上はないと厳しいでしょう。でも、経験上、名古屋のフリーライターでも、頑張り次第でこれぐらいは十分に可能な数字だと思います。
年収600万円をクリアするためには、年間300日働くとして日給2万円以上を稼ぐ必要があります。ただ、サラリーマンであれば、平均時給が2000円ぐらいですから、1日10時間働けば当たり前にクリアできる数字です。これが超えられないのではあれば、フリーランスのライターになるより、今の仕事を続けてブログや副業で好きな執筆をする方がいいですし、そもそも、フリーでなくて会社勤めのライターを目指せばいいんじゃないか、という話になります。
ライターとしてプロになるということは、お金をいただいて文章を書くということ。好き勝手に文章を書けるわけではありませんし、依頼主から何度も修正依頼をいただくこともあります。それでもなお、「ライターの仕事が面白い!」と思えるかどうか? 今一度冷静に考えてみてはいかがでしょうか?
「でも、やっぱり目指したい!」
そう確信できるのであれば、ライターはきっと面白い仕事だと思います。
以上、参考になったかどうかは分かりませんが、質問者の方の今後のご活躍と、幸せな人生を心からお祈りしております。
…さて、人に偉そうなことを言う前に、
自分が食っていく努力を怠らないようにしないと。。。
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さて、書いた文章がウソにならないように、頑張ります!
初めまして、山田と申します。
様々な分野でのメディア運営や大手企業様のWebプロモーションなどのサービスを提供している会社で勤務しております。
このたび、貴媒体から有料で広告リンク掲載して頂けないかご相談をさせて頂きたくご連絡差し上げました。(相互リンクが難しいため)
弊社は現在、クライアント様のウェブプロモーションをしております。
現時点ではクライアント名を述べることはできませんが、世間一般に名の通った大手企業様です。
そこで、有料契約にて貴媒体からの広告リンク掲載をお願いしたくご連絡差し上げました。
貴媒体は有用な情報を掲載されており、是非広告リンク掲載をお願いしたいと考えております。
クライアントも、貴媒体からの広告掲載・タイアップを熱望しております。
是非、掲載位置や料金等のご相談をさせて頂ければと考えておりますが、ご意向をお知らせ頂ければ幸いに存じます。
誠にお手数ではございますが、ご返信は下記連絡先にご連絡頂きますようお願い致します。
E-mail: yuki.yamada.1985@gmail.com 山田
(メールアドレス自動収集ロボットなどの対策のため、上記メールアドレスには全角の「@」を記載しております。
お手数ですが、お返信の際は半角の「@」に変更してください。)
何卒宜しくお願い致します。
貴ブログにて質問をさせていただいた清水です。
せっかくご指南をいただいたのにも関わらず、数年経過してからのお返事で申し訳ございません。
あれから決して計画性のある時を過ごしてきたとは言えませんが、昨年末より、Webライターとしてフリーでお仕事をしております。
まだまだライターとしてはひよっこで、最低限の収入しか得ることはできていませんが、平井さんのように多方面からお仕事を受けられるように精進してまいります。
最後に、こんな若輩者のためにさまざまなことを教えていただいたこと、感謝いたします。
本当にありがとうございました。
お久しぶりです。平井です。
いえいえ、こちらこそご丁寧にありがとうございます。
どこか心の中で「あれからどうなったんだろう?」と思い続けていましたので、
清水さんがライターとしての一歩を踏み出していることをお聞きできて、うれしいです。
ライターは、「なる」のは簡単です。「食う」のもそれほど難しいとは思いませんが、「食い続ける」「人一倍稼ぐ」のはやっぱり大変。
これはどんな仕事でも一緒だと思いますが、自戒の念も込めてあえて申し上げれば、常に努力を怠らないことが大切だと思います。ぜひこれからも頑張ってください!
さて、僕も負けないように頑張らねば!