2013年04月02日

イノベーション・オブ・ライフ。

いまのところ、今年のベスト、です。

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ [単行本] / クレイトン・M・クリステンセン, ジェームズ・アルワース, カレン・ディロン (著); 櫻井 祐子 (翻訳); 翔泳社 (刊)

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ [単行本] / ク...

先ほどの記事にも書きましたが、いよいよ平成25年度ですね。僕のブログをご覧いただいている方に、どれだけ新社会人の方がいるかは不明ですが、新たなスタートを切るそんな方にこそ読んで欲しい一冊、それがこの『イノベーション・オブ・ライフ』です。

手に取ったきっかけは、昨年末から今年はじめにかけてくらいの日経新聞の書評欄。どこかの大学教授が、「僕の書評はいいから、とにかく一読を!」と激称していたのを見て購入しました。実は読んでからしばらく経過していますが、冒頭でも書いた通り、今年読んだビジネス書では、個人的に現状、ベストです。

本のタイトルやアマゾンのリンクを見て、ピンと来た方もいるかもしれません。そう、この本の著書は、ビジネス雑誌や新聞でもたびたび引用される、世界的なベストセラー『イノベーションのジレンマ』のクレイトン・クリステンセン氏です。でも、この本の内容はかなり毛色が違います。実は、経営や経済のお話ではなく、企業経営の理論を「人の生き方」に置き変えた、いわば「人生指南書」です。

どうやらこのクレイトン・クリステンセン氏は、毎年ハーバード・ビジネススクールで受け持つ講義の最終日、ビジネスや戦略ではなく、どうすれば幸せで豊かな人生を送れるかについて学生たちと話し合うらしく、その内容をもとに構成されているのが本書です。

発端は、自身の経験にあるようです。本書でも語られていますが、ハーバード・ビジネススクールを卒業した同級生たちは、当初輝かしい人生を歩んでいるように見えていました。ただ、同窓会を重ねるごとに、職業人としては成功を収めながらも、明らかに不幸な人生を送っている人が増えていったのです。

何度も離婚を繰り返したり、望まない仕事で葛藤していたり。なかには犯罪行為に走ってしまう人までも。だれ一人としてそんな人生を望んでいなかったはずなのに、どうしてそんな運命をたどってしまうのか――。本書では、そんなジレンマを解決するため、企業の経営理論をあてはめて「人生の経営学」を模索しています。

で、肝心の内容なんですが、これは結局のところ、僕も「読んでみてください!」と言いたい。特に、これから新たなステージへと向かう社会人の方々にはぜひ手に取っていただきたいと思います(なんだか上からで恐縮ですが…)。下手な解説は無用なので、ちょっとだけですが、感銘を受けた部分を引用させていただこうと思います。ちょっと長めですが。

***

戦略は――企業戦略であれ人生の戦略であれ――時間や労力、お金をどのように費やすかという、日々の無数の決定をとおして生み出される。あなたは一瞬一瞬の時間の過ごし方や、労力とお金の費やし方に関わる一つひとつの決定をとおして、自分にとって本当に大切なのはこういうことだと、公に宣言しているのだ。人生に明確な目的と戦略をもつことはたしかに大切だが、自分のもてる資源を、戦略にふさわしい方法で投資しない限り、何にもならない。結局のところ、戦略は正しく実行されなければ、ただの善意でしかないのだ。

自分が心から実行したいと思う戦略を、実際に実行しているかどうかを確かめるには、どうすればいいだろう? 自分の資源が流れている場所に、つまり資源配分プロセスに目を配ろう。自分の立てた戦略を支えるような配分がなされていない場合、深刻な問題が起こるおそれがある。たとえば自分は慈善心のある人間だと自負している人は、自分の気にかけている大義や組織に、それだけの時間やお金を費やしているだろうか? 家族が何より大事だと言うなら、ここ一週間の時間の使い方の選択で、家族を最優先しているだろうか? 自分の血と汗と涙をどこに投資するかという決定が、なりたい自分の姿を映し出していなければ、そのような自分になれるはずもない。

(第4講 口で言っているだけでは戦略にならない より)



<家族や親しい友人との関係は、人生で最も大切な幸せのよりどころの一つだ。だが気をつけなくてはいけない。家族生活が万事うまくいっているように思われるときは、家族との関係への投資を後回しにできると、ついつい考えてしまう。これは大きな間違いだ。深刻な問題がもちあがる頃には、関係を修復しようとしても、もう手遅れであることが多い。つまり、矛盾しているようだが、家族との強力な関係、友人との親密な関係を築くことに最も力を入れる必要があるのは、一見その必要がないように思われるときなのだ。

(第5講 時を刻み続ける時計 より)

***


う〜ん。いかがでしょうか。ぼく自身も「なりたい自分」をきちんと見つめ、正しい資源配分を心掛けていきたいと思います。

posted by もっぴ at 10:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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