2013年05月11日

日本農業への正しい絶望法。

ここまできたら、今週中は読書一辺倒で。

日本農業への正しい絶望法 [ 神門善久 ]

日本農業への正しい絶望法 [ 神門善久 ]

前回の本が農業でしたし、著者の神門善久さんが昨日の日経新聞朝刊に寄稿されていたので、今日は、昨年ちょっと話題になった『日本農業への正しい絶望法』です。

なんとも刺激的なタイトルですが、本の内容をざっくりまとめると以下の4点(終章より引用)。

@日本農業の本来の強みは技能集約型農業にある。

A耕作技能の発信基地化することにより、農業振興はもちろん、国民の健康増進、国土の環境保全、国際的貢献など、さまざまな好ましい効果が期待できる。

Bしかし、その農地利用の乱れという「川上問題」、消費者の舌の劣化という「川下問題」、放射能汚染問題の三つが原因となって、農業者が耕作技能の習熟に専念できず、肝心の耕作技能は消失の危機にある。

Cマスコミや「識者」は耕作技能の消失という問題の本質を直視せず、現状逃避的に日本農業を美化するばかりで、耕作技能の低下を助長している。


※詳しくは「神門善久」で検索すれば、いっぱい記事が出てきます。

自分も就農して分かったことは、やはり日本の農業は危機的状況だということ。地元・一宮市でも、圧倒的な高齢化が進んでいますし、本書が指摘するように、日本の農業は確かに「絶望」と表現するに相応しい事態だと思います。とくに、技術継承という意味では、すでに長年培われてきた農業技術が継承されないまま消えている公算が高く、これになんとか歯止めをかけないと、「農業をなんとかしよう!」と思い立った時にはすでに手遅れ、となりかねません。(もう手遅れな感は否めませんが…)

そんなわけで、僕も、地元に伝わるタマネギ採種の技術を「なんとか伝承していかねば」と参入したわけですが、同じような志を持って、とにかく始めてくれる方が増えてくれることを切に願います! 生物の絶滅危惧も大事だと思いますが、こうした「技術の絶滅危惧」に目を向けることも大事だと思うんだけどなぁ〜。

平時は農業、戦時は武士…みたいなことが昔もあったようですし、この際、兼業でもなんでもいいので、みんながもっと「人間が生きるための基本技能」に注目したら面白いと思うんだけど。まだまだ未熟な僕が言うのもなんですけどね。何かの雑誌にも寄稿した気がしますけど、インフレリスクがくすぶる昨今、リスクヘッジの意味でも、食糧自給のスキルは活きると思いますし。

日本の食糧自給率が40%だ!と騒ぐまえに、自分自身の食糧自給率を40%超にしてみる。そんなことから始めてみてもいいような気がします。とにかく変わるといいな、日本の農業。

posted by もっぴ at 20:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
> 日本の食糧自給率が40%だ!と騒ぐまえに、
> 自分自身の食糧自給率を40%超にしてみ
> る。

なるほど、面白い発想ですね。耕作地のない都市は無理でも、ちょっと郊外に行けば、可能ですよね。

農業が「仕事」になると重苦しく感じますが、「レジャー」「アウトドア」と捉えると楽しめますよね。
Posted by 壁際椿事 at 2013年05月13日 09:24
壁際椿事さん、コメントありがとうございます!

食糧自給率40%なんて、簡単に達成できますよ! レジャーにもなるし、きっと楽しいと思うなぁ〜。

都会では、なかなか畑がないみたいですけど、プランターでも結構イケますよ、きっと。でも、僕は枯らしてしまうと思いますが(笑)
Posted by もっぴ at 2013年05月13日 21:06
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