今、医療は「在宅」へと本格的に舵を切りはじめています。
ところが、世の中が「在宅」に対応できるかどうか。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を前に、ちょっとした正念場を迎えています。
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そんな中、先日、とある工務店さんからの依頼で、リフォームの取材をしてきました。
1日で2件のお宅を訪問したのですが、どちらの施主さんも、障害を抱えた車イスの方でした。
通常、リフォームの取材と言えば、「従来の設備が一新され、こんな快適になったんだよ!」的な流れになるのが一般的なのですが、話の大半を占めたのが、「心の変わりよう」でした。
ヘルパーさんの手助けを受けることなく、自分で外に出たり、トイレが済ませられたり。それがどれだけ自分を前向きにしてくれるか。ふさぎこんでいた心に、リフォームが光を当ててくれた。そんな内容でした。
その工務店の社長さんは、「私たちがしているのは、心のバリアフリー」だと言っていました。
今後も増加が続く医療費はどこかで削減をせざるを得ない。今後も在宅医療への流れは止めることができないでしょう。
でも、それを受け入れる家族は、きっと疲弊してしまいます。だからこそ、リフォームで本人だけでなく、家族も救ってあげたい。社長さんからは、そんな「熱いモノ」を感じました。
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医療だけではない。
あらゆる人が、業種が、快適な暮らしを支える術を考えていかなければならない。
そんな思いを新たにした取材でした。
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中村仁一というお医者さんの本に、「多死社会」という言葉がありました。団塊の世代が後期高齢者になり、いずれ死ぬ。その場として、病院はベッド数が足りない。在宅死が増えざるをえないというのです。
介護が、施設でなく、在宅重視なのと同じです。介護を受ける人も、多くは在宅を望んでいますね。
バリアフリーというのは、本当に大切だと思います。街や自宅といったハード、人々の意識といったソフトが、本当にバリアフリーになれば、究極には、自宅でも、介護施設や病院などと同等に過ごせるようになるでしょうね。
いまは健康で若い人も、何かの事故で障害を負うかもしれないし、加齢は避けようがありません。バリアフリーは障がい者や高齢者だけのものでなく、みんなのものなんですね。
現場でナマの関係者の声が聞ける。冥利ですね。
>冥利ですね。
ホント、そうですね。
もしライターの仕事をしていなかったら、身近で何かが起こらない限り、医療や介護について真剣に考えることはなかったかも。