どうも、名古屋のフリーライターの平井です。
今日は、最近更新が結構続いている読書コーナーから。
タイトルは、
『お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ』。
ええ、今回もタイトル長いつながりになっております。
偶然ですよ! 特に意図していたわけではございません。
ここのところ、ビジネス書は相変わらず多いものの、
ど直球的マネー本を読んでいなかったので、
「お金」というフレーズが目に留まって読んでみたものです。
さてさて。そろそろ本のご紹介の方へ。
著者は、僕の中での「勝手に師匠」である糸井重里さん。
そして、「お金の神様」と呼ばれている邱永漢さんです。
中身はずっと、お2人の対談形式で進んでいきます。
糸井重里さんは、もう説明不要ですね。
徳川埋蔵金で、30代諸君は少年時代にどれだけワクワクしたことか。
『マザー』では思わずホロリ…なんて、お話しはおいておいて、
『となりのトトロ』での棒読み的セリフが心にしみる…じゃなかった、
コピーライター、最近では『ほぼ日』で有名な方でございます。
一方、邱永漢さんは、みなさんご存知でしょうか?
実のところ、僕もあんまり知りません。というか全くでした。
だから、そんな方にもきっと楽しく読んでもらえると思います。
ちなみに、直木賞作家、事業家、経営コンサルタントなど
さまざまな顔を持つ、こちらもどえらい方のようです。
で、肝心の本の内容ですが、糸井さんが終始、
お金について邱さんに問いかける、といったものになっています。
といっても、タイトルから連想する「お金お金!」感はなく、
仕事だったり、結婚だったり、事業についてだったり、
いろいろ話が飛びながら、随所で琴線にふれる名言が登場。
読み応え十分な対談になっております。
*********
人間はね、自分が見たいものしかみない
事業というのは果樹園のようなもの
もう、唯一変わらないのは
「世の中は常に変わる」っていうことぐらいになってしまう
お金儲けのヒントは、本の中にはない
友を選ばば、強気八人、弱気二人
人間はもともと、どっちつかずなんですよ。
生活保護を受けてまでもお金を貯めておいて、
しかも亡くなるまで使わなかったとなると、
お金を持っているということは、どういうことなのだろう?
と考えさせられますね。
17億円の株を持ちながら死んだ人もいるし、
どんなに持っていても、死ぬまで使わなかったら、
持っていなかったのと同じだと思いませんか。
お金というのは、明らかに儲ける側と使う側の
両方のバランスがとれていないとダメだと思うんですよ。
「一つの事業が頂点に達するまでにかかった時間が
長ければ長いほど、ダメになる時間も長いんだ。
自分たちは徳川時代からやってきたから、ダメになるのは、
まだそうとう時間がかかる」とおっしゃってました。
<龍角散の元社長の言葉を紹介しながら>
<未来を見る目を曇らせるものは?という問いに対して>
過去に固執しすぎることだと思います。
過去から続いている人間の常識なんていうものは、
経験のもたらしたものに過ぎないんです。
未来を経験している人はひとりもいないんですから、
過去の目を切り捨てなければ、
未来が見えなくなるということはあると思います。
人間の愚かさは、変わらんもの。
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僕がなるほど、と持ったフレーズを挙げてみましたが、
これは全部、邱永漢さんが発した言葉の数々。
実業家であり、なにより作家として生きていた人ならではの
ウィットに富み、物事の核心をえぐるワードたちに
なんだか最後まで、しびれっぱなしでございました。
個人的には、「事業は果樹園」って表現、いいなぁ〜。
「桃栗3年柿8年」じゃないですが、やっぱり結果が出るまでには、
それなりに時間がかかるということでしょうか。
この本、元々2001年に発行された作品を、
2011年に加筆・修正を加えて文庫化したものようですが、
10年以上の時を経ても、「色褪せ感」は全くないですね。
著者のひとり、邱永漢さんはすでに永眠されているようですが、
素晴らしい人物を亡くしたんだなと、しみじみ思う一冊です。
2015年03月08日
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