どうも、名古屋のフリーライターの平井です。
最近、どうやらネットがおかしい。
そう感じたりしませんか?
10年ほど前まで、ネットの空間は、
現実世界に比べてそれなりに自由なスペースで、
やんわりとした匿名性も手伝い、
かなり好き勝手なことができる印象でした。
もちろん、法律を犯したりはしませんし、
マナーを守った使い方は以前からしているつもりですが、
「もしかしたら炎上するんじゃない?」なんて、
それほど気にしなくても大丈夫だったし、
ましてやSNS特有の、誰かにいつもチェックされ、
追い立てられるように「いいね」を押すような、
焦燥感みたいなものはなかった気がします。
・・・と、ぼんやり考えているところに、
面白い本が見つかったので読んでみました。
家入一真さんが書いた、
『さよならインターネット
〜まもなく消えるその「輪郭」について〜』です。
さよならインターネット - まもなく消えるその「輪郭」について (中公新書ラクレ 560) -
著者の家入さんとは、
「ロリポップ!」というレンタルサーバーに始まり、
数々のサービスを提供してきたIT業界の経営者。
最近では都知事選にも立候補したことで有名です。
まあ、もちろん、落選したわけですけど。
で、そんなITどっぷりの方が、
なぜに「さよならインターネット」なのか。
本書ではそのあたりの流れが、
氏の半生を追いながら綴られています。
詳しい内容については、
アマゾンのレビューをはじめ、
他の書評に譲るとしまして、
僕が読んでみて思ったのは、
やっぱりネットは窮屈になってきたんだな、ということ。
その昔、リアルな現実とは離れた、
もう一つの居場所であったはずのネット空間は、
今や、完全に現実世界に引きずり込まれ、
同一空間へと融合してしまった感じがします。
本の冒頭、著者が若い人から、
「インターネットはハサミみたいなもの」と言われ、
衝撃を受ける一コマを紹介していますが、
まさしく今、インターネットは
現実の世界に根ざした一つのツールとして
存在するようになったんだと思います。
そこには、かつてのようなワクワク感や、
得体の知れない感や、おどろおどろしさみたいなものは、
すっかり消え失せている感じがします。
そして、ツールとなったインターネットは、
自分が興味を持つものを、
勝手に探し出してくる探知機になっている。
本しかり、情報しかり、そして、友達しかり・・・。
自分が好きであることを効率的に探し出し、
どんどんと無駄をそぎ落としていくインターネットに、
ある種の危うさを感じるという著者は、
最終章で、インターネットを遮断してみたり、
今まで経験のない世界に飛び込んでみたり、
書店に行ったりすることを勧めています。
インターネットはどこに行くのか。
読みながら、色々なことを考えました。
ネットとの距離感にちょっと悩んでいる方。
一読してみると、きっと自分なりの
付き合い方が見えてくる気がします。
それにしても、最後の答えが「書店」とは・・・。
週の半分は本屋に行く僕としては、
なんだか福音のように思えた一冊でした。
2016年09月08日
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