先日、『2』を読んだもので…。
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( 出張の帰りに、大雪のため一昼夜空港のロビーに足止めされた「私」。そこで出会ったある老人に、つい仕事で鬱積(うっせき)した感情をぶつけてしまう。老人は実は、企業トップがアドバイスをほしがるほどの高名な実業家。その含蓄ある言葉に「私」はしだいに仕事観を揺さぶられていく。 <p> 本書は、将来への希望もなく日々仕事に追われる主人公が、老人のアドバイスに自己変革のアイデアを見いだしていく物語である。それは、唐突に繰り出される老人の言葉とそれを問いただす「私」の会話で展開していく。たとえば老人は「目標を立てるな」という。「私」は、目標がなければ進歩の度合いが測れず、軌道修正もできないと反論する。しかし老人は、斬新なアイデアや商品がなぜ誕生したかを説き明かし、それらが目前の課題に集中した結果であることを指摘。また、世の中は自分が目標を達成するまで待ってはくれないとも言う。そして「遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守る」「明日は今日と違う自分になる、だよ」などのアドバイスをおくる。 <p> 試すこと、日々変化が必要であること、偶然を見落としていること…。本書のこうしたメッセージは特別なものではないが、それを痛切に感じさせる語り口が独特である。「多くの人は他人を凌駕する人材になろうとしているけど、それを他人と同じような人間になることで達成しようとしている」などは、自分を振り返らせるのに十分である。 <p> 物語仕立てのビジネス啓発書としては「短編」の部類に入る本書。シンプルながら味わいのある1冊である。(棚上 勉))
仕事は楽しいかね? [単行本] / デイル ドーテン (著); Dale Dauten (原著); 野津 智子 (翻訳); きこ書房 (刊)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/514AWCH6ZNL._SL160_.jpg)
『2』の方は、組織の在り方、上司と部下の関係について書いた一冊になっていましたが、こちらの『1』の方は、仕事への取り組み方、考え方などを諭したもの。
『2』と同様…というのも変な感じですが、スト―リー仕立てになっていて、とても読みやすいのが特長ですね。
ありきたりな成功本では、「とにかく真面目に努力する」みたいなのが推奨されていて、ついつい「そればっかりでもないでしょ?」なんて疑問を挟みたくなってしまうんですが、
その点、この本は、巷の自己啓発本とはちょっと視点が違っているのが魅力的だな〜と思います。
例えば、こんなことが書かれています。
これは僕の大好きな言葉の一つなんだ。
“遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守る”
問題は、才能のあるなしでもなければ、
勤勉かどうかってことでもない。
コイン投げの達人じゃないってことなんだ。
…ここだけ切り取ると、なんだか意味が分からないかもしれませんが、
成功者のエピソードというのは、かなりの割合で、「後付け」の理由が乗っかってしまっていて、
本当は偶然に成功しただけだったとしても、「あそこでこうしたから成功したんだ」とか、「こういった考えで行動したのが良かった」なんて形で、「成功の理由」を事後的に盛ってしまうことが多い。
…まあ、この辺は、マスコミがいけない部分もあって、なんとなく自戒の念も込めて、という感じにはなるんですが。。。
で、そんなバイアス?の説明について、この本の中では、「コイン投げ」の例え話を挙げています。
コイン投げを1000人の参加者が一斉に行うと、連続して7回投げ終わった時点で、表が出続ける人が確率的に8人ほど現れる。
8/1000の確率。その数字だけをみると、なかなかスゴイ感じがしますよね。
で、こうなってくると、「その生い立ちを聞かれたり、急にアドバイスを求められるようになる」とこの本では書いています。
確かに。ビジネスで少し成功すると、いろんな人が寄ってくる。そんなシーンってよく見られますよね。
でも、それって純粋にその経営者の実力かどうかは変わりません。コイントスと同じ理屈で、「なんにも考えずにただ投げ続けているだけ」だったりするわけです。
じゃあ、成功を掴むためにはどうすればいいか。人よりも数多く表を出すにはどうしたらいいか。
そう。単純に「人より多くコインを投げる」。それに尽きるわけです。
いろんなことにチャレンジする。とにかく手を出してみる。
そして、成功するか否かは天に任せる。
そういう意味では、新たなことに挑戦し続けるという「努力」、未知の分野に挑み続けられる「才能」は必要かもしれませんが、
コイントスをし続けることなら、なんだか自分にもできそうですよね?
…とまあ、本のニュアンスとは若干違うかもしれませんが、終始こんな感じで、新しい考え方を与えてくれるような内容になっていますので、
現状の仕事への取り組み方になんとなく「行き詰まり感」のある方には、なかなか刺激的で面白い内容ではないかな〜と。
ちなみに、そのほかにも…、
成功するというのはね、右に倣えをしないっていうことなんだ。
彼らはね、他人を凌駕する人材になろうとしているけど、
それを他人と同じような人間になることで
達成しようとしているんだ。
問題は、平均より上の人があまりに多くて、
みんな普通になってしまっているってこと
新しいアイデアというのは、
新しい場所に置かれた古いアイデアなんだ。
などなど。
アウトローな生き方をまっしぐらで進行中のフリーライターにとっては、なんだか背中を押してくれているような言葉が多くて、心地よかったりするんですが(笑)、
そんな自分の嗜好を抜きにしたとしても、何かにチャレンジしたいと考えている人にとっては、とても大きな勇気をもらえる一冊だと思います。